オススメできる方
- 対談形式、それも意外な組み合わせが好きな方
- 少し古くても役立つ本が読みたい方
- ロボットに将来仕事を取られるんじゃないかと不安な方
ドラえもんはおそらくみなさんもご存知ですね。かつては21世紀に来たと言われていましたが、時代が追いついてしまって22世紀から来た万能猫型ロボットです。
ドラえもんが現実にいたらなあ、と思ったことのない人はいないというほど、その技術力と汎用性にすぐれたひみつ道具の数々は人々の心をつかんでいます。
何よりドラえもん自身も理性と感情を兼ね備え、人間と全く同じように考え、行動することができます。
さて、本題ですが。
ドラえもんほど大げさでなくても、機械の進歩はめざましく、やがて人の仕事は大体は機械が担当するとまで言われています。そこでポジティブな考え方とネガティブな考え方の2種類が生まれます。
ポジティブな考えは人ができる作業が減るので、人ができることがもっと増えて、人類は時間を大きく確保することができ、もっと成長することができる。
ネガティブな考えは機械に仕事が奪われ、多くの人が生きるための既存にあった職業をなくし、優秀な人とそうでない人の貧富の差がどんどん激しくなっていく。
もう少し複雑な部分はもちろんありますが、概ねこういったところでしょうか?
実際そうでなくても若者(まあ私もですが)はロボットにできるなら自分は必要になるのだろうか?自分はどうやって生きていけばいいのかを悩んでしまうことが多いみたいです。
この問題について、とある二人が話し合いのが今回の本です。
とはいえ、10年ぐらい前の本ですが、今でも十分通じると思います。こうしてみると、重大な問題というのは数年ぐらいではたいした変化は訪れないのかもしれません。
ロボットからわかる人間論
ロボット……というより、アンドロイドの研究をしている石黒先生とそれに哲学にまつわる研究をしている鷲田先生の二人による話し合いです。
アンドロイドとは要は人の姿をしたロボットを作ることであり、人間にどうやったら近づけるかを常に探求しています。そしてそのためには誰よりも人間のことを理解しなければならないということでもあり、人間観察能力が鍛えられた学者の話は、非常に説得力のある内容となっております。
そして、哲学者と書きましたが、大阪大学の総長(今はもう退任されているようですが)をしていた哲学者であり、様々な方向から人間の行動や考え方を書いていきます。
基本的にはロボットと人間の考えなどが中心ですが、映画の話になったり、外国文化の話になったりちょっと話が逸れたりすることもありますが、やはり人間にできること、さらに言えば人間の可能性についての話が中心と言えるでしょう。
素人考えなロボット観ですら、新しいものに変わり、そこから新しい人間観が生まれるかもしませんよ?
結局、人間って何?ロボットって何?
人間とロボットの違い、と言われるとあなたは何を思い浮かべますか?」
もちろん、この問は今のロボット、というよりは将来、人間以上に何でもできて、人間並に色々な感情を出す……言ってみれば冒頭で述べたドラえもんのような存在が出たときに、あなたは人間とロボットの違いを何を思い浮かべますか?
多分、多くの人は、目に見えない何かといった心理的なものを考えたと思いますが、じゃあドラえもんはどうなるでしょう?ドラえもんはどう考えても心ありますよね?何だったら下手な人間よりよっぽど感受性が強いですよね?
という形でロボットに心があるかどうかは人との差異にはなりえないというのが一つの答えであり、じゃあどこに差異があるのかというのは、是非、本を読んで探してみてください。
ちなみにお詫びをしなければいけないことがあります。
ここまで色々な例にドラえもんを使いましたが、実はこの本にドラえもんというワードは一切出てきません。
ちょっと本の内容をネタバレにならない程度に触れるのにすごく便利だったので色々使っちゃいました。
ごめんなさい。本の主題に使われてないのに散々話題にしちゃって。
いや、あなたじゃなくてですね……。ていうかあなた誰ですか。
新しいことをするためには?
茶番はおいといて……。
ロボットに仕事を取られる、というのは簡単にできる単純作業、あるいはロボットでも判断できるような仕事に今ついている人たちが危ないと言われることが多い気がします。
つまり、今のロボットも認識していない新しい仕事、もしくは自分自身が新しい役割を見つけることができれば、将来は安泰……とまでは言いませんが、一種の自己の確立、すなわちアイデンティィーと言われているものが身につけられる可能性があります。
最も、それを見つけられないから苦労している、と言われればそれまでですが。
この本は対談を通して、どうすれば、自分が自身を持てるものを見つけられるか、あるいはどうして見つけられないのかという答えをいくつか用意されています。
わかっていてもできないものから意外と聞いたことがないものまで様々です。お手軽には真似できるとは言いませんが話を聞いた後自分で色々探せば、参考にできるものを色々見つけられるでしょう。
ただし、この話題は本のテーマに近いということもあり、あまりまとめられておらず、様々なページに隠されていますので根気強く探してみてください。
目次を見ればけっこうヒントは多いです。
総評
なかなか、面白い組わせの本であり、対談形式ということもあり、哲学やロボットから外れたことも人生観として語るという場面もあります。
とはいえ、まあネガティブな悩みを解決するのが目的の本なので、ネガティブ度よりはポジティブ度が強め、前半のご挨拶でも語ったロボットについて悩んでいるかたは読むとスッキリする部分があると思います。
やはり、先生が書いた本ということだけあって特に若い人、特にいろいろ進路を悩んでいる方に向けられたメッセージになります。
これから先、ドローンや自動運転、はたまた空中倉庫など様々な新技術が出てくると思いますが、そういったときこそ、人として、人に何ができるかを常に考えなければいけない……
と、言いたいですが、意外と直接的に人について考えるのではなく、機械をはじめとした、人ではない何かを媒体にして人について考えている方のほうが知っているのかもしれませんね。
要点へのヒント
この本が黒い理由が実は作中に書かれていますが、どの部分でしょう?
○○しかできないこと≒○○しかできないこと この2つは別々の2文字が入りますがそれはなんでしょうか?
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