オススメできる人
- 知らない生き方を知りたい方
- 働き続けることに疲れている方
- 現在、明日世界が滅びればいいのにと思うぐらい人生に絶望している方
最初の挨拶もどうでも良くなるぐらい奇想天外な言葉が飛び出したと思った皆様、こんにちは。
今回はとある「山奥ニート」の方々のお話です。
覚えていらっしゃる方もいるかもしれませんが、5080問題の時にお話した、一つのニートの可能性がこの方たちのお話です。
どういう人たちか気になっている方もいるでしょうが、まあ基本的に想像どおりで大丈夫です。ニートの活動を山奥へ移してわずかな労働以外はほとんど遊び、寝て、自由に過ごしている方々なので、良くてフリーター、悪くてそのままニートと言ってさしつかえないでしょう。
しかし、様々なものに頼っているとはいえ、彼らはしっかり自立しており、誰かに迷惑をかけているということもなく、そして、考える力も決して一般人に見劣りしない、いえ、むしろ自由に動いているからこそ、熟成された考えを持っていると確信しました。
毎日が子供のように新鮮で楽しく、一般の人の生き方とは少しだけ離れつつも、とても充実した生活を送っており、これも一時期流行った言葉である「好きなことで生きていく」の形の一つと言えます。
そしてそんな「山奥ニート」の一人である方が書かれたものです。
日々の生活で思うことや、生活自体の紹介、そして都会の一般の人の生活と比べたりあるいは面白いエピソードなどをいっぱいに詰め込まれた1冊です。
スッキリと読みやすい本ですので、読書が苦手な方にもおすすめできます。
山奥ニートとは
彼らは山奥という言葉は伊達ではない、非常に街から離れた場所へ住んでいます。彼らを知ろうとしてその場所まで行こうとしたけど途中で諦めたというぐらい山奥です。
山特有の自然の綺麗さ、畑作業、綺麗な水、そして何より静けさといった良い利点もあれば、自然災害、都会にあって当然のものがない不便さ、嫌いな人はとことん苦手な虫などの共存生活が山暮らしです。
そして、可能な限り生活費を削減し、僅かな収入でほとんど、働かずに生きていくといったニートの特性を組み合わせたものが「山奥ニート」です。
この本の前半部分は彼らがどのように生活していて、日々、何を考えて過ごしているのか、この生活の良いところは、悪いところはなどをわかりやすく説明してくれます。そして、私達が当然考えるであろう「どうせ〜〜でしょ」とか、「〜〜が大変なんでしょ」みたいな質問も先回りして答えてくれます。
あまり細かく説明してしまっては、この本の面白さが薄れるのでほどほどにしていますが、少なくとも、全て自分で頑張る、生きるのに必要なことしかやらないといった原始的な生活でもなければ、ただ来る日も来る日も耐え続けると言った修行僧みたいな生活をしているのでもなく、電気もネット設備も通った生活の中で、毎日を楽しく生きています。
本の中盤から終盤にかけてどうして、このような生活を送ったのか。そして、ほんの著者だけではなく、現在、山奥ニートをしている人の感想や、山奥ニートをやめた方のきっかけやこれからのことについて書かれています。
まとめると、惨めに施しをもらう、言葉を選ばずいえば誰かに寄生をすると言われているニートのような生き方ではなく、自然や人にある程度頼りながら、そしてある程度返しながら、毎日を面白く、そして楽に生きれる努力をした方々といったところです。
生き方を考える
彼らの生き方を見ていると非常にうまく生きているという感想が出ました。
与えられた環境を最大限に活かして、そして自分がしたいことを楽をしながら行い、そして新しい発見を見つけていく。
ニートの話であり、ニートの一つの終着点という形で紹介しましたが、人としての終着点とも言えるかもしれません。
今は多様性がある程度認められ、そして現在進行形で受け要られつつある時代ですが、結局終着点の一つはここに行き着くのではないでしょうか。もちろん、いろいろな人に認められるという目標や、世界一の何かを目指す、あるいは単純に好きだからやっているという生き方もあるでしょう。
仮に別の終着点へたどりついたとしても、今、彼らの生き方に憧れを抱くことは決して不自然なことではないと思います。
さらに面白いのは終着点の一つでありながら最低点の一つというところがあります。
ネタバレなので詳しくは控えますが、山奥ニートをやめた方々も少なからずいます。しかし、山奥で暮らしたという独特の経験といつでもここに戻ってこられるという安心感が支えとなり、旅立つ勇気をもたらしたのです。
最極に見えるこの2つを同時に併せ持つ生き方は多様性の一つの形というよりは多様性そのものなのかもしれません。
とはいえ、彼らはひたすらに楽天的に過ごしているのではなく、一つの覚悟、そして、ネガティブさを抱えながら生きています。
普通の人が得られるであろうもの、あるいは望んでいるものをどこか諦めているといった調子は少なからずやはりあります。しかし、だからこそ、今あるものを大切にし、今あるものを最大限に活かし、今の日々楽しむことができ、人との距離感に苦しむことがなく、生きることができているのです。
これもネガティブな考えや力が生んだ一つの形であり、ポジティブになるためにも、あるいはそのまま理想に生きるためにも、ネガティブさが必要であることの証明になると思います。
総評
奇想天外なタイトルから、なかなか想像を裏切りつつ、期待を裏切らない内容でした。
山奥ニートになってみたいという方もいらっしゃるのではないでしょうか。
大体はもう語りましたが、もう一つこの本で重要なことが一つあります。
あなたの理想はあなたの固定観念を変えればあなたが思うより簡単に叶う可能性があるということです。
人が変わるには、場所、人、あるいは習慣を変える必要がありますが、意外と少し変えるだけでも大きく変わるものです。
私が知っている話だと、ほとんど家から出ることができなかった無職の人間が、トイレのスリッパを変えるという習慣を一日欠かさず行っただけでトップセールスマンになったというなかなか信じられないような話もあります。
彼らはニートの場所を山へと変えたことで彼ら自身にも、彼らの周辺にも大きな力をもたらしました。
つまり、小さくても絶大な力を持つ「変える力」をもし大きく変えることができたら無理と思っていた理想にあっさり手が届く、という可能性を私はこの本に見出しました。
今後も「山奥ニート」とは別の形で今までの固定概念を覆すネガティブさもありながらも理想の生き方があるかもしれません。
これからもこのブログで探していきたいと思います。
余談
ちなみに働かなくても良い生き方は以前紹介したこちらもどうぞ。
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