オススメできる人
- 嫌われる勇気を読んだ方
- より実践的かつ具体的な方法を中心に知りたい方
- 覚悟ができた方
お待たせいたしました。前回の嫌われる勇気の続編です。
あなたはアドラーについてはだいぶ理解できたでしょうか?アドラーの教えをすぐにあなたの人生に生かせる気持ちになれましたか?
前作でアドラーについて深く共感と理解を示した青年は、今までの仕事をやめて、教師となり、哲人の教えに加え、さらに我流でアドラーについて学びつつその教えを活かしたやり方で生徒たちを導くことを目指し始めます。
しかし、現実は過酷なものです。異端なものをそう易易とは受け入れません。
結果は散々と言っていいほどでした。青年の心を少しずつ折っていき、そして最後には、従来の現実的なやり方を受け入れた結果、アドラーという異端すぎる理想論よりはるかに成功しやすいと確信した青年は再び哲人のもとを訪れます。
アドラー、そして教えを信じる哲人を現実の経験による議論で打ち負かし、そして永遠に決別するために。
しかし、青年も読者もわかっていなかったのです。
アドラーが見せる教え、そして人生についての一つの真理を。
アドラー中級者との討論
タイトル的に今作から読みたいと思う方もいらっしゃると思いますが(前作はタイトルが衝撃で人を選びますので)前作の内容を知らない、もしくは覚えていないとやや置いてきぼりになる可能性があります。そのため前作を読むか、あるいはこの場合はオススメはできませんが、以前お伝えしたことがある集中理解流を活用し、この本について知っている方の話を聞いてからこの本を読んでおきたいところです。(オススメできないのは人の話で理解しようとしても納得できる可能性が他の本と比べてやや低めだからです)
もし、気になったら下からどうぞ。
今作ですが、青年が教師という仕事で直面し、アドラーの教えが効かなかった、あるいは従来のやり方のほうがうまく言ったということを哲人と討論しあっていきます。
とはいえ、教育問題をベースとはしていますが、教育問題が中心というわけでもありません。前作と同じく、当てはまらない人のほうが圧倒的に多いような人生の問題や悩み、そして解決のために常識や固定概念を打ち破るような話につながっていきます。
また、前作でも出なかった青年の事情にも再びメスが入っていき、青年に自分を重ねる人もまた、多くいるはずです。
前作は作品の中で日にちを跨ぎましたが、今作はずっとノンストップで進んでいきますが、あくまでこれは本。読書の方はじっくり理解しながら進んでいってください。焦る必要はありません。
仕事、信頼、そして愛
突然、ひどくありきたりなものを語りだしたと思いましたか?
ですが、そうでなければネタバレ禁止のこのブログでは伝えられません。この誰が聞いても重要だとわかり、当たり前と思うような3つの要素が今回の話の裏のテーマと言えます。
もちろん前作で語った3つの要点を前提に考えつつです。
「そんなこと言われなくてもわかってるよ」と思う方もいらっしゃると思うかもしれません。しかし、もう一度言います。アドラーは一切容赦しません。
どうして仕事に満足できないのか。
どうして信頼を得られないのか。
どうして愛を感じることができないのか。
全てに残酷で厳しい答えを用意しています。どこへも逃げ道はありません。強いて言うならアドラー論理を完全に捨てれば逃げられると言いたいところですが……。
知ったら手遅れ、永遠に付きまとわれる
ここまで読んでいただいた方に非常に残酷なお知らせがあります。
残念ながら、アドラーを知ってしまうとほとんどがもう手遅れです。忘れようとしても完全に記憶を消さない限り、心のどこかに残ってしまいます。(実際作品中でも恐ろしい考えと言われています)
ある意味、生き方が試される教えと言えるかもしれません。アドラーを知った時点で従うも戦うももはや困難な道と言わざるを得ないでしょう。
どこか心に入ってしまうのです。ただ厳しく、人のためと言いながら自分のためというような世間一般の感情論では他人事と受け流すこともできます。しかし、アドラーはもっと冷静で実践的かつ、それでいながら包容力がありすぎる教えだからこそ、聞き手を逃しません。
そして、厄介なことに誤解すると大火傷するような教えでもあり、学び続けることを強要してくるような鬼教師のような教えとも言えるでしょう。
総評
前の記事で読まないほうが良いかもと言ったのは一つの理由からです。
前作で終わっていたならおそらくアドラーを理解したままの気分でいれて、すなわち1冊でアドラー論の卒業気分を味わえていたかもしれません。
ただ、今作を読んでしまうと、今までの2冊合わせてまだ説明書段階、平たくいうとチュートリアルの段階だったと気づいてしまうのです。
そして、これからあなた自身が実践し、さらに追求していかなければいけないのです。アドラーの教えに対して、時に従い、時に疑い、それでもなお信じ続ける勇気を持てるかどうかを。
今作のタイトルである、「幸せになる勇気」ですが、残念ながら決して軽く、簡単なものではなく、もっといえば勇気を1回出したら必ず幸せになれるわけでもないとだけ伝えておきます。
受け入れるにも拒絶するにも勇気を出し続けなければいけないのです。
アドラー自身、完成された昔の学問として、本に残すだけではなく、常に生きた未完成の学問として、様々な人たちが学びつつ、発展させていくことを彼は望みました。
実際に、他の本だけでもアドラーの考えを落とし込みつつ実際に問題をどう解決するかといった本や漫画がたくさん出版されています。(個人的にはアドラーって本当にこういうこと言いたかったのかな?と疑問に思うような本もありましたが)私の感想ですが、これこそがアドラーの願いであり、人が常に考え続け、発展させていくことを願ったのだと思います。
宗教とよく比較されるアドラーですが圧倒的に違うのはこの部分ですね。
アドラーを全ての教えの原本としてみるのではなく、アドラーを対等な人間として、その論を理解しあい、時に戦ってください。
実践するためには究極的にポジティブが必要であり、理解するには究極的にネガティブな力が必要であると思われます。一人でやる必要はありません。ポジティブな人に協力してもらうか、あるいはネガティブなまま私のように発信してもいいのです。
この本であなたの勇気を試してみませんか?
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