オススメできる人
- 過去にトラウマがある人
- 劣等感が強い人
- 本当に今を変えたいと思う方
今が苦しかったり誰かと比べてしまうというのは多くの人にあることだと思います。
ではどうしてその状態から抜け出せないのか。
努力が足りない?考えが足りない?環境が悪い?人が悪い?
いえ、必要なのはただ一つだけです。
さあさあ、ついにこのときが来ました。
今日は私のネガティブ力の原点とも言える本です。
この本を語らずして、このブログは成り立ちません。
え?「じゃあなんで今まで紹介しなかったの?」ですか?
それはまあ、ある程度ブログに慣れてから出したかったと言いますか……(本当は本棚の奥にあったのを見つけるのに時間がかかってました。)
とにかく間違いなく重要な本です。
嫌われる勇気 著 岸見 一郎 古賀 史健
タイトルから逃げないでください。とても大事なお話です。(ちょっと角が曲がってしまいました。本は大切にしましょう)
アドラーの教えを語り合う哲人と青年
前に紹介した神様とのおしゃべりや悪魔とのおしゃべりと同じように対話形式の本ですが、2つ違う点があります。
一つはアドラーという偉大な哲学者についてのみの話ですが、全ての問題につながる話ということです。
もう一つは、終始真面目に話すこと。(これに関して前者2つがだいぶコメディすぎたというのがありますが)
単に先生が生徒に教えを与え続ける一方的なお話ではなく、反骨精神剥き出しで哲人を屈服させようとする青年が哲人に様々な疑問や反論をぶつけ続け、アドラーの教えの芯に迫っていくという形で進行し続けます
基本的にこのブログではネタバレは厳禁ですが、今回は特別に要点を3つあげてしまいます。これさえわかればこの本の内容はわかったも同然!
- 世界はシンプル
- 全て原因から始まるのではなく目的から始まる
- 全ての悩みは対人関係の問題であり、解決できないのは勇気がないから
はい。というわけで読んでみてくださいね。お疲れ様でしたー!
もちろんジョークです。メタ的に言えばここまででまだ1000文字も語ってませんので。
なぜ普段要点などを述べない当ブログが要点を述べたかは簡単です。要点だけ述べても決してこの教えを受け入れることはできないからです。
むしろこの要点を私達が何故受け入れられないかを青年が徹底的に代弁し、哲人が答え、具体例を出し、そして青年が時間をかけて反論するという形で繰り返し、私達への理解力と説得力を向上させるというのがこの本の最も重要な部分と言えるでしょう。このやり方で複雑なアドラーの考えを読書にも浸透させていきます。
そして一度は納得してもまた次の日に疑問が出て、哲人に問い、そしてまた討論をするを繰り返し、どんどん深い部分を掘り下げていきます。
人間関係や劣等感、現状への不満など全ての悩みをアドラーの教えに集結させていくのです。
おそらく他人事のように思える人は圧倒的に少ないと思います。なぜなら悩みを抱えていない人はこの世にはいないからです。もしいたとしたらその人は「悩みを抱えていない」という悩みを抱えているのでしょうね。
必要なもの、それは……。
要点を見て、「あれ?」と思った方もいらっしゃるのではないでしょうか?(私が逆の立場だったら気がついてないと思います)
わかっています。わかっていますとも。
この本のタイトルである「嫌われる勇気」は一体どこにあるのか?という話ですね。
実はその主題は、中盤頃になってやっと出てきます。ただ、実はこの本の本当のメインテーマを上げるならそれは”嫌われる”を抜いて勇気となるでしょう。
そう、この本は勇気を生み出す本です。ただし、勇気をくれると言っても
「はい、あげる」
といったお手軽贈与ではありません。
かといって根性論で
「頑張って身につけろー!!」
というものでもありません。
落ち着いてゆっくり紐を説いて、理屈を一つ一つ考え、捨てるべきものを教えてくれます。ただ非常に捨てがたいものです。捨てるべきを捨てる勇気、そして受け入れる勇気を出す方法と課題、そして恩恵を教えてくれるのです。
タイトルにもある嫌われる勇気とありますが、つまり「人の嫌われないこと」を捨てることで真の幸福を探求する……と言いたいのですが、残念ながらそれだけでは足りません。
もっと多くの勇気、そして覚悟を必要とされます。
厳しい、とにかく厳しい。でも優しさと救いもある
哲人の語り口調は非常に穏やかで優しいものですが、言っていることの厳しさはどの学校の教師よりも苛烈かもしれません。
多くの人が望むものを与えるのではありません。楽な道を示してくれるのでもありません。
といってもただの根性論ではありません。「勇気があれば何でもできる」ではなく、「とにかく勇気が必要」というわけではなくもし、あなたが何か悩みを抱えていたり、劣等感で苦しんでいたり、動けないとしたら課題とその方法を両方を一度に作ってくれるような厳しさを併せ持った優しさ、そして救いをくれる本です。
言ってみれば勇気を与えるのではなく、勇気を作り出すための壁を与え、読者に選択させる本と言えるでしょう。
総評
嫌われる勇気というタイトルですが、あくまでこの勇気は一例です。
アドラーの教えのもと、人生に必要な様々な勇気をあげ、そして青年と一緒に悩み、反論し、疑問を持つことで着実に自分のものにしていく物語であり、哲学書です。
ちょっと荒療治かもしれませんが、少なくとも誰かを意図的に傷つけるような本ではありません。(最も哲人の言葉を聞くたびに、青年は自分のことを悪く言われたと怒る描写が何度もありますが)
ただ大変な道で、しかし、もしかしたらあなたが追い求める実践的で具体的な生き方、そしてその先にあるあなたの、あるいは世界の絶対普遍的な理想がこの場所にあるかもしれません。
どうしても苦しかったら捨ててしまっても構いません。他ならぬこの本の哲人も厳しくはありますが、決して強要はしてはいないのです。
あなたが受け入れることができなくても、他の誰かがアドラー流の生き方を見た時に理解する役に立つでしょう。一見おかしな生き方で、自分勝手に見えるかもしれませんが、確実な理論と考えがあるのです。そして、それが欠点だらけの生き方ではなく、改めて人を通してなにかの理想を見ることからできるかもしれません。
ただし一方で非常に誤解されやすい内容もであります。何しろアドラー自身、多くの仲間が離れていってしまいました。そして、実は青年もそうなのですが、それは余談にて。
ちなみに、私はこの本を読んで他人の褒め言葉が効かなくなりました。良かった点でもあるし悪かった点でもあります。どうしてなのかは是非読んでみてください。他の人がそうなるかどうかまでは残念ながらわかりませんが。
余談
さて、先に言っておくべきことがあります。
この本の中で一応青年は納得し、アドラーの素晴らしさに目覚めます。
そして、その教えを多くの人に実践しようと意気込んでいくのですが……。
どうなったか?
この著は実は続編があります。
その名も「幸せになる勇気」
ええ、また勇気です。
ただし、気をつけてください。もしかしたら続編を読まないほうが良い方もいらっしゃるかもしれません。アドラーの教えという点でもありますし、物語という意味でもあります。
もしかしたらより過酷で残酷な問いをあなた自身が抱えることになるかもしれません。
それでもなお、自己の悩みが解決できない、もしくはよりアドラーを知りたいと言うならば
どんな本は次の回で説明いたします。
コメント