『居場所』(著:大崎 洋)を紹介します。才能、人望、富、経験、性格がなければ”居場所”はできない?そんなネガティブをふっ飛ばします

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一言で

居場所には、場所も人もお金も肩書もいりません。

どんな本?

「この25mプールを息継ぎなしで泳ぎきれば一つなんでも言うことを聞いてほしい」

そんな約束から始まり、吉本興業の社長であり会長でもあった大崎洋さんがダウンタウンの二人とマネージャーとして、そして社長として一緒に生きてきて悟った12の「しないこと」そして本のタイトルでもある居場所について語る本です。

社長の言うことだから、「金にならないことはするな!!」「無駄に時間を潰すようなことはするな!」といったような厳しいお説教があると思いますか?

全くの逆です。

この「しないこと」は「しなくていい」という世間の厳しさから逃れるための言葉です。

イメージとしては厳格な教師の元で立派な人間になるための授業を受けるのではなく

親戚の優しいおじさんから面白い人生経験を雑談を交えながら聞くというのが近いでしょうか。

大手企業の重役という立場にいるのにも関わらず、記憶に新しい吉本企業ブラック事件なども含め、様々な障害や弊害、そして自他共に認める性格の緩さなども相まってなんというか自己啓発という言葉とはとことん無縁かもしれません。

しかし、読んだらすっと楽になるでしょう。

居場所とは、いずれたどり着くような目標として描かれることが多く、そのために必要なものを求められがちです。お金、家族、社会的立場、実績、貢献度、あるいはカリスマ……しかし、忘れがちですが、居場所とはそもそも力の源泉でもあり、そして決してそれは定まった形である必要はないのです。

決してお笑いのユーモアを溢れる本ではないのですが、どこかこの本の強さはお笑いに似た力を感じさせました。

おすすめポイント!

自伝のようで自伝らしくない身近な物語

窓際族からダウンタウンのマネージャーとなり、そして東京という完全にアウェーな場所で当時はまだまだ認められなかったダウンタウンの二人と一緒に様々な困難に立ち向かう……。

と、聞けば他の社長や偉人たちの語る偉人伝と同じ雰囲気を感じるかもしれませんが、大きな違いがあります。

それは、思わぬ快進撃や一発逆転の助けみたいなものがなく、問題に突き当たったり、あるいはダウンタウンのお二人の姿を客観的に見たときに、「あ、これはなくていいんだ」と、大崎さんが悟った瞬間を繰り返します。

そして、全く問題解決せず、別の時間に飛びます。

問題解決などのやり方を紹介しておらず、ほんの趣旨から外れているように見えて、悟ったことこそが、居場所を作るために大切なことです。

「置かれた場所で咲こうとしない」「孤独を見つめすぎない」「競争しようとしない」一見逃げているようにしか見えなくても、エピソードを読んでいけば、この考えが自分を守り、そして居場所何か理解することにつながるでしょう。

今まで自伝を読んでいると失敗したり、落ち込んだりして、一緒の目線で考えられていた人たちが成功した途端、すごく離れてしまうような感覚があったのですが……この本はきっと最後まであなたと一緒の目線で話してくれるでしょう。

実際、私はこの本を読んでもなぜ、なぜ大崎さんは社長になれたのかさっぱりわかりません。

しかし、その身近さがこの本が伝えたい「しなくてよいこと」を強く伝えたと思います。

ダウンタウンと特殊なフィルター

ダウンタウンのお二人がお笑いに関して一種の頂点にいることを否定する方はいないでしょう。

しかし、決して最初は恵まれた環境にはいませんでした。才能などなく、笑いもひたすら模索し続け、トラブルもあり……と書いてしまうと、また成功者の話っぽく聞こえるかもしれません。

ですが、最初のプールの話を思い出してください。あとは大体似たようなイメージを抱けばわかると思います。そんなテレビの、そしてお笑いの頂点にいる二人の話の原点、というよりは、あくまでも身近な、家族に近いかそれ以上の二人の絆を持っていた大崎洋さんの目線で語られます。

間違いなくすごい人達なのですが、どこか読んでいる自分たちと似たようなもんを感じ、そして彼らから大崎さんが学んだことをそのまま学べる感覚が味わえるでしょう。

再び同じようなことを言いますが、ダウンタウンがなぜ売れたのか、のかはさっぱりわかりません。

(本以外の部分なら考察はできますが、本からではヒントが見られませんでした)

しかし、彼らだからこそ、そして、身近で見続けた大崎さんという他にはないフィルターを通すからこそ、「しないこと」の意義が学べるのです。

なくていいものから居場所を探る

居場所、それは家であったり仕事であったり、友達であったり、家族であったり、あるいは自分の才能だったり様々な形があるかもしれません。

しかし、当たり前と思うようなことほど大切で、そして誰もが持っているとは限りません。

(例えばこの本この本でいうならば家族の温かみなどもそうです)

そして持っていることがわからない人ほど、誰かに「〜〜すべき」と言いますが、当然無い袖は振れないもの、悪気がなかったとしても居場所を作るための助言が居場所をなくすこともあります。

だからこそ、しなくてよいもの、ないものから居場所を作るという考えは重要なのです。あるという条件は満たせなくても、ないという条件を満たすのは決して難しくありません(場合によってはそうではないかもしれませんが)

さて、では大崎さんの居場所はどのようなものだったのでしょうか?

実は答えはずっと最初にあったのです。最も、それが答えとして価値を生み出すのはすべての「しないこと」を読まなくてはいけませんが。

注意点

強さがないと紹介しましたが、もし社長であることの考えや、あるいは一流の仕事人としての考え方を学びたいと考える人がいたらあまりこの本はおすすめできません。

あくまでも一人の人間としてダウンタウンの二人を見つめ続けてきてそして悟った12の「しないこと」を紹介する本です。

「今、苦しい」「孤独感を感じる」といった人におすすめであり、「何かやりたい」と強い動機に溢れている人は他の本をおすすめします。

最後に

居場所は簡単に作れます。

お金も家族も地位も才能も必要ありません。

もちろん、著者ほど大きなものになるかはわかりませんが、少なくとも失うことを恐れる必要はないのです。

この居場所は決して奪われません。なくなりません。比べられません。

簡単でもそれが非常に大切なものとなるのです。

読めばきっと、居場所を作る、あるいは居場所に気づくための方法がわかるでしょう。

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