「非才」の中のネガティブをブレイクします!残酷なまでの学力の格差社会、目指すは圧倒的現代受験の下剋上!下剋上受験 著 桜井信一

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ネガティブ・ブレイク!

オススメできる人

  • 受験で苦しい思いをしたことがある方
  • ドラゴン桜など勉強に関するお話が好きな方。
  • 世の中、不公平だからどうにもならないと思っている方

このブログを見ている皆さんは受験というのをどれくらい経験したことがあるでしょうか?中学、高校、大学、あるいは資格の受験などもありますね。

いつだって受験は非常に苦しいものです。私も多くの人と同じく、高校と大学の受験を経験しましたが、今でも地獄だったと思っています

しかも、残酷な真実ですが、勉強をやった分だけできるようになるから公平だと言いつつも、実際はそうでもありません。塾へ行ける環境、周りの経験者の有無、そして子供の才能、様々な要素があります。特に塾へ行けるかどうか、つまり親の経済力がそのまま子供の学力、引いては年収につながるというお話もあるぐらいです。

さらに経済力が高いということは親も受験の経験がある可能性が高いので受験のコツなどを教えられるということもあるでしょう。(あえて子供の成長のため、教えないという親もいるそうですが)

つまり、親の経験が薄く、今を生きるのに精一杯、という家庭は受験の難易度が飛躍的に上昇するというのは正直否めませんね。

さて、今回のお話ですが、まさに最悪な劣勢の環境の中、受験のセオリーと真っ向から戦った親子の話です。

娘さんが眠そうですね

下剋上受験 桜井真一

ちなみに一部の登場人物の仮名以外は全て実話です。

結果はわかっているからこそ、伝わるやるせなさと情熱

あらすじは簡単なので少しだけ説明すると、夫婦、小学5年生の娘がいる家庭のお話です。一家の父親、桜井信一は、日々の生活にどこか悩みを抱え、自分と同じような生活を娘である佳織に送ってほしくないと考えました。

そこで中学受験の中でも難易度が一番高いとと言われている桜陰中学校を受験させることにします。

しかし、一方で、受験の痛みを自分が知りもしないのに娘にだけ押し付けるというのもよくない、もっと言うならば、自分が何もできないのは無責任なのではないか、そのように考え、”娘の受験”ではなく”父娘の受験”として、手探りでただただ勉強漬けで、そしてちょっとだけ楽しく、あとは大体辛い受験生活が始まっていきます。

実を言いますと、受験は落ちたことがすぐわかってしまいます。本当に最初の数ページで結果を教えていただけます。じゃあやるだけやって駄目だった絶望の話なのかというとそういうわけではありません。

落ちたことがわかっているからこそ、この親子が伝わる情熱、苦しみ、頑張り、やるせなさ、そして希望が伝わってきます。そして結果以外に得られるものは本当に何だったのか。過程が大事というのは綺麗事ではないのか。その真実を身を持って教えてくれる本です。

能動的に動き続ける父親

受験というものは親は子供を塾や教師に任せたらあとは基本的に放っておいて定期的に結果だけ観察する、ということが多いです。

ところがこの父親は非常にアグレッシブです。なにせ、最初の段階で子供と一緒の勉強方法をして、一緒に悩み、解決方法を一緒に試していきます。

そのために金銭的にも体調的にもかなり無茶なことを平気で行い、ボロボロになりながらもただただ答えを探し続けます。果たして1流の教師や塾講師、あるいはエリートの親でもここまでできる人はいるのか、というぐらい探し続けます。

もっとも娘を甘やかしたわけではありません。いえ、それこそ、一般的に想像がつく過程より厳しく、そして理不尽に責めてました。出るところ出たらちょっと問題になるかもしれません。

しかし、悩まなかったわけではありません。本当に娘のためなのか、それともやはり自分の意地のためなのか。受験に関わる親がよく考えるであろう悩みも全て考えつつも彼は止まりそうになりながら目標のために動き続けたのです。

彼は娘を決して一人で戦わせようとはしませんでした。

凡人から天才を徹底観察

私の好きな言葉の一つに岡目八目という言葉があります。実際に碁をうっている人ではなく、見ている観客のほうが何手か先まで見ることができる、そこから転じて物事は外部の人間のほうがよく観察できるという意味になった言葉です。

頭の良い人がなぜ頭の良い人になり得るのか。頭が良いから合格できるのか、合格できるから頭が良いのか、この本におけるサブテーマだと思います。

父親は何度も天才のやり方を可能な限り模倣し、そしてどうしてそうするのか考え、足りない部分は量でカバーする、もちろん自分が可能な限り支えとなるという戦略を繰り返します。

そして、そこから察する答えは私達の想像を遥かに超える答えを導いていくのです。俗に言う頭の良い人でも、本当にその考えを自覚しているのか、と考えてしまいます。

少なくとも私は、この本の父親から多くの人を学べたと思います。つまり、下剋上は成功しているのかもしれません。

そして、最後まで観察も、動きも止むことはありませんでした。もちろん、失敗がなかったわけではありませんが。

総評

全体を通してすさまじい迫力と熱意、そして急がせるようなスピード感がある本でした。

ちなみにここまで読んでいただいた方でも「でも、たかが中学受験でしょ?」と思った方もいらっしゃると思います。

問題の一部などが紹介されているのですが、私がやってみた場合、数学の問題でもギリギリわかる、あるいはわからない。それ以外の科目はほぼ何言っているかわからないといった成績でした。

さらにこれをぱっと解かなきゃいけないというので、どれほど過酷な勉強が必要だったかわかります。

また、学歴で人を馬鹿にできない理由ができました。私としてはそれだけでも読む価値があったと思います。

受験に落ちたというネガティブさ、しかしそこで終わりません。かといってポジティブだったとも思っていません。

なぜならこの父親はもしお金があるならやっぱり塾に通わせたいと思っていたからです。そんなネガティブさを持ちつつ、自分にできることを全力でやるという、私が信じるネガティブでも行動派になれるという一面を見せてもらいました。

とはいえ、真似したいかと言われると少し厳しいと思います(汗)

余談

この本にも出てくるエビングハウスの忘却曲線は全ての学びについて必須の知識だと思っています。もし勉強で悩んでいるなら是非この法則を知ってください。ざっくり簡単にいうと、人は人が思うほど勉強したことを覚えていられない、ということです。

いろいろな本がありま〜す。

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