『ゴーン・ガール』 監督 デヴィッド・フィンチャー:「秘密」と「最低」がテーマです!あなたはどこまで最悪の事態を想定できますか?そして最悪の事態がいつまで続くことを耐えられますか?

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映画 その他

映画『ゴーン・ガール』予告編

オススメできる方!

刺激的な映画が見たい!

ハラハラするような展開が見たい。

「秘密」の意味を知りたい!

結論:エイミーという名前にトラウマを持ちそうです最もこの恐怖がいつか役立つかも知れません(全世界のエイミーさんごめんなさい)

※やや性的描写、衝撃な映像が含まれる映画です。閲覧の際はご注意を

最初に

「夫婦」

以前、兄弟姉妹を通じて、家族についてお話をしましたが、夫婦というのも月並みな言い方ですが、色々あると思います。例外はありますが、基本的に好きになりあい、愛し合い、そして結婚に至る……というのが一般論ですね。

問題は相手の何を好きになるか……ですね。理想的なのは人柄や雰囲気で判断することと言われますが、外見や地位、将来性なども話題に上がりますね。

ちょっと特殊なケースだと、その人の何かしらの”憧れ”あるいは”共感”などが、きっかけとなったりします。非常に強い感情ではありますが、やや脆い部分もあり、持ち続けるのはなかなか難しいともっぱらの評判です。

やはり男女両方とも結婚はゴールではなく、スタート捉えなければ難しいということでしょうかね。

……以上、結婚どころか恋人すらできたこと無いまあまあのおっさんの説得力のない考察でした。

泣いてなんかいません……

さて、気を取り直して今回の映画です。

華やかなスタートを切った夫婦のお話です。しかし、とある日に突然、妻が脱走してしまいます。戸惑いながらも警察を呼び、必死に探す一方でドンドン明らかになっていく夫のえげつない行為……そして夫が持っていた決してポジティブではない妻への秘めた感情……恐るべき策略の数々……不穏な雰囲気がどんどん強くなっていきます。

恐ろしいもの見たさに近い感覚でドンドン先が気になり、一段落ついたと思ったら今度はもっと恐ろしいことが始まり、そしてまた無意識にさらなる恐ろしさを求めて進んでいきます。超常現象が起こるようなホラーでもないのですが……ここ最近見た映画の中では一番恐ろしいかもしれません

びっくりさせる表現はないのですが……夫婦の秘密や恐ろしい考えなどを知っていくと背筋がゾゾッとします。心臓の弱い方などでもお薦めはできますが……一方で正義感や道徳心の強い人の場合、ちょっとストレスがたまる要素が多いかも知れません。体調が良かったり、あるいは異質なものを受け入れる体制が整っているときの閲覧をおすすめします。

人の恐ろしさ、あるいは愚かさ、そして非道さを学ぶ覚悟も必要ですね。

あらすじ

とあるパーティで知り合ったエイミーとニックは結婚して以来、毎年、エイミーが結婚記念日に出すクイズに振り回されていました。

謎が解けないままある日、ニックが帰宅すると、誰もいません。エイミーがいなくなったことに事件性を疑い、警察を呼び、調査をしてもらいますが、何故か殺人を疑われる失踪事件の犯人として、ニックが疑われ始めます。

そう、ニックにも秘密がありました。そして、この隠していた事実、残された証拠が事態をどんどん悪い方向に繋げていきます。周りの人間は敵だらけとなり、徐々に追い詰められているニック。

果たしてエイミーはどうなったのでしょうか?そしてニックはどうやって危機を脱出するのでしょうか?

おすすめポイント!!

エイミーのおそろしき策略と考え、そして底しれぬ闇

なんと言っても最大の特徴と言えるでしょう。『ゴーン・ガール』のタイトルがエイミーを表している通り、事実上、エイミーが主役です。(画面に出ているのはニックが多いですが)

幼い頃からの名声、群集心理の理解、相手の性格からの行動予測、そして何より、決して自分の行動も真理も悟らせない底しれぬ闇がエイミーの恐ろしさでした。

ニックも彼女の恐ろしさはわかっており、どこか彼女から離れようとしていたものの、おそらくそれすら彼女には計算内だったのかもしれません。そして、彼女は姿を消したのにも関わらず、多くの人を味方につけ、さらには多くの罠をしかけ、多くの不幸を周りに振りまくのです。

ニックとは違い、視聴者はある程度彼女の足跡や考えを追うことはでき、そしてその計略を知ることができますが、それでも彼女のことを理解することは難しいでしょう。結婚にしても最初から愛はなかったのか、それこそ、テレビで話されているような虚構に引っ張られてしまいそのまま信じてしまうかも知れません。

でもだからこそ。

この映画を見れば、外見が良さそうだったり華やかな経歴を持つ人に対して無条件で信じそうになった時、「ちょっと待った」がかけられるようになるかもしれません。

「外道」を裁くものがわかります。

夫、ニックもまた、なかなかの非道さの持ち主です。むしろ前半部分はある意味ニックの罪への公開処刑といっても過言ではないかも知れません。

彼を裁いたのは何だったのでしょうか?警察?民衆?テレビのコメンテーター?

違いますね。色々な意味で恐ろしい妻によって裁かれました。

悪いことをしてでも栄光や名誉を手に入れたい、もっと言うのならばニックのように満たされない自分の欲望を満たしたいという方がいらっしゃいますが……

こうして、正義ではない、「別の悪」それももっと恐ろしいものよって裁かれるからこそ、悪は非推奨とされるというのも抑止力としては良いのかも知れません。

もっとも正義が必ず悪を裁けるのであればそうならなくとも済むのかも知れませんが……難しいものです。

テーマ「秘密」「最低」についてもう少し詳しくなれます。

さてテーマについてですね。まず、【最低】のお話をします。

【最低】というのは養護しようもないほどのネガティブさに溢れていますね。さすがの当ブログでもポジティブに置き換えるのはほぼ不可能でしょう。

キッパリ断じてしまうなら、当映画のニックとエイミーもなかなかに【最低】です。

ただ、【最低】を判断するにも問題が一つあって……

今の場所が【最低】かどうかはわからないということです。

人にとっても同じです。うかつに【最低】を断じてしまうともっと最低な人間の特徴をつかめなくなったり、劇中の群集心理を利用したエイミーの策略に騙されてしまうかも知れません。

実際この映画でもニック目線で考えると「これ以上無いほど最低だ」と思うシーンは何度もあります。しかし、何度でも最低の状況は更新されます。

もう一つ、「秘密」についてです。こっちのほうがメインテーマです。

エイミーは毎年ニックにクイズを出すことで、「秘密」をちょっとずつ明らかにしていたように見せかけていたのかも知れません。秘密が少しずつわかっていくとしまいにはその人の全てがわかると錯覚してしまいそうになります。

そして、ニックにも秘密があり、一方的にエイミーに隠していたと思っていたことが一つの優越感のようなものを感じさせていたのかも知れません(最も彼女への別の感情もあったようですが)

そして、二人のそれぞれの秘密は別々の形で動き出し、あらすじの展開に繋がっていきます。

秘密は持つ人間にとっても追求する人間にとても恐ろしいものです。秘密を求めることそのものが、秘密になりかねません。

それでも人は秘密を追求してしまいます。理由は色々あるでしょう。好奇心、利益、愛、真実……ポジティブなものが秘密の裏に隠されていると人は信じてしまいます。

しかし、決して「秘密」そのものはポジティブではありません。

結局エイミーは視聴者にも秘密を残して終わってしまうのですが、私は少なくとも知りたいとはもう思えません。

知る魅力よりも知ってしまう恐怖のほうが勝るからです。

秘密というのは強力な毒でもあり、そして強力な疑似餌でもあるのです。おいしい投資話に引っかかってしまうのはこのあたりに秘密があるのかも知れません。

「秘密」の恐ろしさをこの映画で知ることができれば、かなり巧妙に隠された「秘密」の罠ですら、避けることができるかもしれません。

ちょっとダメ出し

まあ、なんというか……性描写とかもそうですが、おぞましいとか生々しいという部分が少なからずあります。むしろちょっとオーバーなぐらいあるので、少しでも苦手な方にはやはりおすすめできません。

最後に

何が嘘で何が本当か……見ている側はわかっているはずなのに、判明した嘘と本当すら真実なのかがわからなくなってきます。ニックの俗っぽい秘密、そしてエイミーの底しれぬ秘密……絶対的に見るならどちらも同じ秘密であるはずなのに、ニックの秘密が霞んで見えるほどエイミーの闇は底しれません。

一通り映画を見てもわからないところがあります。エミリーは本当は何が目的だったのか?どうしてこんなことをしたのか?結局、最初の愛は本物だったのか偽物だったのか?

ただ、上記でも述べたようにこれ以上もう知りたくないと思うことで、なんというか、映画を気持ちよく終われた不思議な感覚も覚えました。全体で言えばホラーであり、ミステリーでもあるのですが、どうもジャンルに似合わない不思議な体験をさせてもらえた気分です。

わからない部分を色々見せられて、”人間の恐怖”というのを見せつけられた気がします。

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