おすすめできる人
- 今の現状が辛い……
- 逃げるって悪いことでしょ?
- 良い逃げ方を教えてほしい!
最初に
「逃げる」
最近(というより少し前)は『逃げるは恥だが役に立つ 』というドラマの影響や様々な本によってだいぶネガティブな印象が薄れていきましたが、まだまだネガティブ印象がはるかに強い言葉です。
学校を始めとした教育、国語や道徳などの影響もそうですが、様々な場面で「逃げる」という言葉は「忌み嫌うべきもの」「避けるべきもの」といった印象を与えられています。
しかし、人生、勝ち続ける人なんていません。致命傷を負うようなことになる前に、「逃げる」という選択肢が最善であるのであれば、しっかりと逃げるべきです。
自分が百獣の王のライオン、空の覇者の鷲の如く……あるいはそれ以上に「逃走の二文字はない」とか「背中の傷は剣士の恥だ」を地で行くタイプでどうしても逃げたくないというのならば、一つの生き方だと思いますが、苦しい上に自分が満足できないと現実的には成果は挙げられないことが多いです。
三国志で出てくる論理ですが、勝負に必要な要素は3つあります。「天の時」「地の利」「人の力」です。3つの力のどれかがなければ人が戦いに勝つことは難しいでしょう。
そして、上記の3つの力が得られない時、どうするか、得られるために動く手段の一つが「逃げる」と言われていることですね。劉備玄徳なんて逃げてばっかりですし。
さて、今回の本です。
そんな「逃げる」をテーマにして、著者の様々な実体験をもとに、簡単にできて効果が高いようなことから、難しいけど成功すれば大きく成長できるような「逃げ方」についてたくさん学べる本です。
読めば、「どういう時に逃げるべきか、どんなふうに逃げるべきか」がしっかりとわかるでしょう。
ただ、後述しますが、逃げても良いと言っているのは「九割」であり、「一割」からは逃げてはいけません。その「一割」が案外、人によって一番逃げたいものなのかもしれません。
この本のおすすめポイント!
「逃げる」ことの利点、強さ、真の意味を知ることができ、抵抗を減らせます。
この本の醍醐味です。
「今の現状が苦しくて逃げたいけど、逃げることは悪いことと思っている」……あるいは、「どんなときでも逃げてはいけないと教わってきた」とおっしゃる方もまだまだ多いです。
当本を読めば、「逃げる」ことによって得られる「無限大の力」「可能性」、そして何より「逃げる」ことを決める「強さ」と「本当の意味」を知ることにより、苦境から正しく脱出する手段を学ぶことができます。
すごく大きなことだけではなく、小さく今から始められること、あるいは意識するだけでできることも多く、手段はかなり豊富と言ってもいいでしょう。
今の場所が幸せならもちろんすぐに逃げる必要はありません。しかし、いつまでも幸せな場所が存続するとは限らないもの、いざという時に備え、逃げる準備をしておく、あるいは逃げ方を知っておくというのは決して無駄ではないでしょう。
どうにもならないことは基本的に逃げるしかありません。
「絶望感」を減らせる
基本的に逃げるものは、大まかにいえば、世間の常識、立派な人間の行動、周囲の期待といったものです。
大多数か、あるいは世代による価値観に過ぎないということを自覚し、本当に自分のやりたいという目的のため、上記のものを考えないことにより、絶望を減らすことができます。
「そんなのただの臆病者、ダメ人間、弱い人間じゃん!」とおっしゃる方もいるかも知れません。
しかし、少し立ち止まってみてください。
「物事から逃げない」「厄介なことを避けない」といういわゆる「立派な人」の偶像は時に、人を追い詰めてくるのです。
「あの人に比べて自分はなんて駄目なんだ」「周りの人と比べて自分は全然できていない」みたいな自己嫌悪、あるいは劣等感……私にも(現在進行系で)経験がありますが、そんなネガティブな感情に陥ったりしあにでしょうか?
絶望的な感情が常に悪いかと言われるともちろん当ブログの定義的にもプラスに働くことはたしかにありますが、強すぎる絶望感を抱いた時に、読んでいただければいわゆる「調整」ができるでしょう。そして、調整するための手段が逃げるということです。
人生を見直すだけでは足りず、大きく変えようとするのはリスクがでかいです。まずは周りとの距離を調整してみることから始めてみませんか?そのために役立つ本です。
逃げてはいけないものを学べる
文中での表記はありませんでしたが、私が学ぶことができた「一割」の逃げてはいけないことについてお話します。
逃げてはいけないものは大雑把に言えば、「考えること」と「行動すること」そして、「人に頼らないこと」ですね。私も昔、考えることも行動することも嫌になって引きこもりになってしまい、多くの時間を失いましたからよくわかります。
著者の方の行動を追って学んでいったことを知ればよくわかります。「常に考え続け常に行動し続けた」のです。まあもちろん突拍子もない行動、もっと言えば一歩間違えられば大惨事になるような行動もありましたが、少なくとも思考停止には陥っていません。
そして、自分の理想の生き方ができる場所を見つけられたというわけです。
もちろん、考えない人のほうがうまくいくなんてことはたくさんあります。
行動しなけりゃよかったなんて思うことなんてしょっちゅうです。
こんな人信じなければ良かったと後悔なんてむしろ人生そのものです。
しかし、そんなネガティブがあるからこそ、逃げるというがいかに重要なことを理解できると思います。必ずしもやり続ける必要はありません。
人によって物事の苦しみは違います。
「考え、行動し、そして人に頼ること」結局人生でいちばん大切なものだからこそ、逃げてはいけないのかも知れません。
Nテーマ「逃げる」について学べる
さて、Nテーマについてです。
本の内容と私の学んだことをまとめると、「逃げる」というのも2つの種類があります。
1つは本当に大切なものから逃げること、2つは本当に大切なもののために逃げること。
この本の主張は後者のためですね。本当に大切でやりたいことのために、周囲の盲信や自分に合わない常識から逃げる……いえ、どちらかといえば「切り捨てる」と言ったほうがいいかもしれません。
そしてそのための手段が「逃げる」というわけです。
ただ、厄介なことが、実は世の中で批判されている「逃げる」行為は上記のどちらのものなのかの判別が難しかったりします。
「ひきこもりとかニートなんてあからさまな逃げじゃん」と思われるかも知れませんが、彼らは彼らなりに「何か」を探している最中という可能性もあります。逆にすごく働いている人が「本当に大切なものから逃げている」ということもあるのです。(最も少数派であることは否めませんが……)
結局の所「自分が納得できるか」という部分も少なくはありません。
一つだけ言えるのは、「大切なものというのは世の中や常識で考えられるほど普遍的ではない」ということでしょうかね。だから、大多数の幸福と思われるようなものから逃げるという行為が必要になるということなのかも知れません。
「逃げるというのはただ全否定されるものだけではない」ということを知れるだけでも十分だと思います。
ちょこっとダメ出し
逃げてはいけない1割と向き合うための戦い方についてはさらりとしか書いてなく「ほぼない」と言っていいでしょう。ある程度楽になってから改めてやりたいことを考えるという方針のための本のためでしょうか?
また、「成功した人間の主張」感は否めません。いわゆる生存者バイアスというものです。ちょっと言うとおりにするのはリスクがあることも多く、行動する前に、致命傷にならないように考えることが大切です(自分を追い込むやり方も間違ってはありませんがリスクがあるのも事実です)
最後に
後ろ向きなネガティブを許容するホント見せかけて、その実はかなりポジティブ主体が強い本です。正直タイトルが別のものであったら当ブログで紹介していたかわかりません。
ただ、もちろん、この本を読んで楽になる部分は確かにあるのですが、
「逃げろ」と言いつつ、「逃げるな」と言っている本という印象も覚えました。
矛盾していると言っているわけではありません。あくまで逃げてもいいのは「九割」なので。上にも述べましたが、駄目な逃げ方としては、現実逃避、すなわち「考えない」「動かない」ような逃げ方ですね。むしろこのような逃げ方から逃げられるようにしなければいけないのかもしれません。
それにしても、冒頭で紹介したいわゆるドラマで「逃げるは恥だが役立つ」という言葉がありますが、ここまで「逃げる」という言葉を活用し本当にやりたいこと、つまり「一割」の部分に全力をそそぐのが果たして「恥」になるのでしょうか?実際は嫉妬しているだけなのかもしれませんね。
今後ももう少し「逃げる」という言葉の普遍性、及び言葉の深さをネガティブな印象を持つ本を通じて考えていきたいと思います。
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