オススメできる人
- やりたいことがなかなかできない方
- 後悔したくないという方
- 人生の意味がわからないという方
最初に
電子書籍シリーズです。
「人生」
様々な言葉に例えられますね。よくあるのは「どこまでも続くように見える道」などでしょうか?。平坦のようで永遠のようで……しかし、必ず終わりは訪れます。
たまに時間はあっという間に過ぎるという方もいらっしゃいますが、キッパリ言ってしまうと、特定の基準から見て、大概ほぼ終わっている、もしくは完全に終わっているから言えることであり、現在進行中の当事者ではなかなか短いと感じることはできないでしょう。(よっぽど現在が充実しているというのならば別ですが)
長い長い期間を感じているといつしかそれが永遠に続くと錯覚してしまいます。人生を細かく分けると、学生時代、社会人、老後……人生の区切り、すなわち物事の終わりは必ず来るものです。
とはいえ、人生が有限であることを忘れる理由はそれだけでは有りません。人生の終わりというものは「死」という概念が潜んでいるからです。人は無意識に「死」を恐れ、逃れることは出来なくても忘れる方法を探します。趣味だったり仕事だったり人間関係だったり色々ですが、熱中している間は死を忘れ、そして時間が立つの忘れることができますね。
しかし、一方で「死」を忘れるというのは人生の終わり、すなわち「寿命」の概念を忘れるということでもあり、人生がどこまでも続くと錯覚してしまう危険性をもたらしています。
さて、今回の本はそんな人生に明確な区切りをつけられたときのお話です。
これ以上無いほどストレートなタイトルから仮定される話、「もしあと1年で人生が終わるとしたら?」です。そして、簡単なようで様々な要素を含むこの問を本でずっと問い続けます。
そして、さらに死の間際だけではなく、人生そのものの真理を追求した本と言えるでしょう。
このタイトルは皆さんは何を思ったでしょうか?「とても恐ろしい」と思ったか、あるいは別の感情を抱いたかは人それぞれだと思います。当本は、実際に仮定ではなく、寿命を宣告されてしまった人々が最後に何を思い、そして看取った著者の方が何を感じたかが書いてある本です。
といっても「人生を無駄にするな!」とか「いつまでも続くと思うな!」みたいな発破をかけるような本ではなく、むしろ人生でやらなければいけないことが多すぎて、自分にとって本当に大切にしたいこと、あるいはやりたいことなどがわからなくなってしまっている人のために、「もしあと1年だけの人生を生きるとしたら何がやりたい?あるいは何を考えますか?」と問いかける優しい本という印象を受けました。
人を追い詰めるのではなく、ちょっとだけ立ち止まって考えてみるための本です。やらなければいけないことをただやらなければいけない方へ少し強引にでも、休憩時間を作って読むことをオススメいたします。
この本のオススメポイント!!
人生は有限ではないということを深く心に刻めます。
ちょっと厳しいかもしれませんが、だからこそ学びがある話です。
この本では残りの寿命が決められてしまった数多くの人が出てきます。中には1年どころかもっと短い年数となってしまった方たちも出てきます。
もちろん、簡単に運命を受けいれられるわけもなく、嘆いたり、悲しんだり不安になったりと様々な感情を吐き出します。しかし、しばらくすると、全てではなくとも、多くの人がやるべきことを見定めていき、そして本当にやりたいことを見つけていくのです。
もっとも期限がついたからって何でもかんでもできるわけではありません。「お金がないけど世界旅行に行きたい」とか「オリンピックに出たい」とかどう考えても無理なことはあります。
しかし、できないことが不幸とも限りません。できないからこそ、できることの大切さに気がつくこともあります。残り1年の期限がついたからこそなおさらです。そして更に言うのならば、何もできて無いと思っていた時に多くのことが実はできていた、ということを改めて知ることができていたとおっしゃっていました。
人生は有限ではない、永遠には続かないと知ることは、絶望するということではなく、それどころか、できることが増える可能性があるという希望を知りました。
人生の意味についての考え方を学べます!
おそらく若い人をはじめとして、多くの人が悩んでいる問題ではないでしょうか?私も正直、かなり悩んでいます。特に私なんぞは障害を持っていたり、色々劣等感が激しかったり、自己嫌悪によく陥るたびに、「私の人生無駄かも……」と考えがちです。
人生の意味とは何でしょうか?多くの人は、所有しているもの、あるいは能力、人間関係、実績などをあげて考えるのではないでしょうか?
もし、なにか誇れるものがなにもないなら人生は意味など無い……
そんなことはないと著者は語っています。
寿命が残り少なく、人生を思い返す機会が多くなり、たしかに最初は「何の価値もなかった」「何もできなかった」と思っている人たちが多く登場しますし、そのまま亡くなってしまう方々も多くいました。
しかし、人生の尺度は様々であり、そして使い方も様々です。終わりの間際の方で色々なことを考え、残りの機会でできることを全力で探す人々を見ると、人生ってただ最後に満足できることを少しでもできればいいんじゃないかとさえ思えました。事実、この本でも最後にやるべきことを見つけられた人たち、あるいは見つけられなくても、何気ないたった一つの出来事を見つけることができれば、満足していたと書いてありました。
そもそも誰かのたった数分、数秒の出会い、あるいはちょっとした風景ですら、良くも悪くも人を変えるきっかけになるのですから、全ての命に意味がないなんてことはなく、もっといえば、すべての命に意味がなくてはいけないなんてことはないのかもしれません。それこそ全ての命、そして存在は良くも悪くもお互い影響にしあっているのですから。
もちろん末期による「諦め」という部分が無いということではないと思いますが、少なくとも普段から人生に「意味がないなんてことはない」と思うことができれば、人生そのものの悩みは減らせるでしょう。
案外、ただやりたいことをやるだけでも人生の意味はあるのかも知れません。最もだからこそ、人生の期限を決めて本当にやりたいことは常に考えなければいけないと思いましたが。
「死」を通して人生を見てみる訓練になりました。
普段、死を恐れている人が死を前にして急に死が怖くなったり、逆に普段から死を警戒し、遠ざけていた人が、いざ、死をつきつけられると従順に受け入れていたり、先のこと、そして「死」についてはやはりわからないものです。
そしてやはり普段は人が忌むべきものとして考えられているものなので、誰かに相談したり、無意識に避けてしまう部分はあると思います。
そして、お家騒動のような遺産相続問題、そして前に紹介した葬式についての過剰費用などの問題に繋がってしまうわけですね。
当たり前ですが、毎日「死んだらどうするか」と思えと言っているわけではありません。そんな人生を送っていたら気がめいるばかりですし、そもそも物事は、ずっと考えていればいいアイデアが浮かぶわけでもないのです。
そうではなく、死を遠ざけすぎてはいけません。少し頭をよぎるだけでも、死は「恐怖」と「絶望」を生み出す可能性はありますが、だからといって、全く考えなければ生まれる苦しみというものがあるのです。
当本では、死を思い起こし、そして死にほんの少し自分を近づけることで気持ちを楽にするという側面もあります。全体的に優しい本なのでほんのすこしだけ近づくだけですむでしょう。ただ、その”ほんのすこし”がきっと大きな力になるのです。
チョコットだめだし
基本的な、言い換えると、共感しやすい人の悩みについて多く紹介されており、あまり奇抜なものは見受けられませんでした。悩みについてちょっと人と違う……と思っている方はあまり心が楽になったり解決には繋がらないかも知れません。
終わりに
ちょっと近寄りがたいタイトルに反して、優しめの内容の本でした。
まとめると、人がついつい避けがちなネガティブ感を優しく、しかしはっきりと受け入れるための本とも言えるでしょう。
「死」というものは必ず訪れます。不意打ち気味に訪れ、最後に激しく後悔や焦燥感を抱くぐらいなら、一度このような本で明確に「死」について学んでおくことは決して無駄ではないと思います。
人生の期限は決まっているという厳しい条件を思い起こさせると同時に、それでも、”人の人生”の価値を思い起こしてくれる本です。
とはいえ、普段考えていないことを考えさせられるという私が思う読書の利点の一つを明確に抑えた本であり、「人生」や「死」について漠然と悩んでいる方に特にオススメしたいです。
最も多くの方は無意識にこの2つについて悩みがちなので、結局大きな範囲の人にオススメできる本と言っても良いでしょう。
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同じく人生について考えた本です。こちらは小説ですが。
能力とか所持するものとは関係なく、人の力について同じく考えさせられた本です。
死について考えることは葬式について考えることでもあります。
同じく死が忌むべきものとして、そして死を見つめることにより生を大事にするための本です。
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