お勧めできる人
- とにかく気持ちを落ち着けたい人
- 楽になる考え方を知りたい人
- 禅に前々から興味があった人
「毎日、毎日あの人と比べて私は……」
「私ってなんでこんなにできないんだろう」
日常的に劣等感を感じている人は多いと思います。
さらにひどい人になると日常的に自分を責め立て、どんどん追い詰めていって何事においても自信のない人間になってしまい、さらに自分を責めてしまう。
そんな悪循環に陥ってしまいます。
非常に残念なお知らせをします。
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劣等感起こしてしまうのは、全て妄想です。
劣等感と言う妄想 著:桝野俊明 2015年12月6日出版
禅の住職の方が書いた本で、禅という視点から劣等感は妄想だと最初に断言し、自分自身についての考えや他者との交流での接し方が書いてあります。
この本はネガティブをポジティブに変える本、というよりはネガティブをとにかく消すことに特化した本と言えるでしょう。
文章も難しい言葉は使わず、使ったとしてもすぐ説明が入り、話し方も優しくて読みやすいので、年齢層、性別などに関わらず、お勧めできると思い紹介させていただきました。
1章 劣等感と言う妄想
本のタイトルでもある章です。
「自分」と「今」を特に強く持ち、劣等感を消すための様々な禅の考え方が紹介されています。 (禅の言葉で即今、当処、自己というみたいです。この後も少しずつ出ています。)
特に面白いと思ったのは知足の考え方です。
知足とは文字通り、足るを知ることであり、お釈迦様の言葉が紹介されています、
「人間の欲望はヒマラヤ山脈全てを黄金に変えても満たされることはない」
24ページ
まず、お釈迦様がヒマラヤ山脈を知っていることに驚きですが要は、「今」の自分が持っているものの幸福感をもう一度見つめなおせということだと私は考えました。
余談ですが、私の尊敬する人物は次のように言っています。
「俺は300円のビールが500円ビールより美味く思うが別に恥じていない。俺が300円のビールで十分と思っているだけだ」
自分がどの値段の物で満足できるのか、それを知っておくことで余計な散財や見栄なども防げるということですね。
まあ私はビールは苦手なんですけど(笑)
2章 他者比較という妄想
劣等感と言うのは当然比較対象、具体的な人だったり、あるいは一般論という正体不明の何かが原因で起こります。
そういったものに流されず、淡々と自分のすべきことをやれというのがこの章のテーマです。
そうは言っても、自分なんか何の役に立たない、自分が何かやってもしょうがない。そんな人もいるでしょう。(といううより私も常にそうです)
役に立たないのは時節があってないからにすぎないのです。役に立つ時節は、必ず、やってきます
54ページ
世界、もっといえば評価というものは人が思うより盤石でもないですし、適当なことも多いです。(学校の教育なんてその最たるものですし)とりあえずやりたいことを見つけてやってみるというのもいいでしょう。もっと言うならそれを様々な形で研鑽していくといつかきっと何かの力になります。
3章 優越感と言う妄想
今まで他人を気にしないという話題が大半でしたが、この章では自分の中のものにも振り回されないようにするということが書かれています。
私が特に面白いと思ったのは次の題ですね。
地位も肩書きも賞味期限は三年
78ページ
大抵のものは3年使わなかったらもう使わないことが多いみたいです。(娯楽品は別だと思いますけどね
同じように地位も肩書き、過去の物だったら語るのは3年以内にしておいたほうがいいです。それが見苦しい生き方になります。
自分は立派な地位とか名誉とかないから関係ないと思っている方もいるのではないでしょうか?
私はここに不幸も加えたいと思います。
辛い過去の不幸は人を守る盾にも人を傷つける剣にもなります。ただし、内側も棘だらけで持っていてもつらい道具です。持っているのは3年たったら脳の押し入れにしまっておくのがちょうどいいと思います。
もし、人を助けられる道具に成り得るとしたらその時はその時で、ひっぱりだしましょう(笑)
4章 人間関係という妄想
人とうまく接する方法、特に自分の中の悪い感情とどう接するかということが書かれています。
特に紹介したい部分はここです。
「連帯を求めて、孤立を恐れず」
134ページ 谷川雁の言葉より
この言葉は、一人になることを恐れていたずらに連帯することはないという意味です。
世の中は、絆や、愛の重要性ばかり押し付けて、たとえどれだけ嫌なことがあったとしても人と付き合うべきという教えが蔓延しています。
本当の意味で力になら別ですが、むやみに自分を偽ってまで付き合わなければいけないような苦しみなら付き合わなくてよいでしょう。
仕事でどうしても付き合わなければならないならあくまで事務的にふるまえばいいだけです。
基本的にドライに、熱くなりたくなったら熱くなりましょう。
5章 妄想しない心
この章はページ数も少なく、今までの総合のようなページとなっています。どのように生きるべきなのか等、この章ではあまり偉人の引用や禅の言葉などは使わず、筆者自身の考えを主張しています。
「ありのままに、他者との距離を考え、ただひたすら生きる」
このことをうったえています。
総評
劣等感を消すという部分がそこまで強くないかもしれませんが、禅という観点からどう生きるべきか、どう他者と接するべきかが書かれている本です。
とにかく読みやすいので、禅の考えに触れたい方、自分か他者の内面で苦しい思いをされている方にお勧めです。
妄想はいいことだけに使いましょう!
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