自分の、他人のコンプレックスの活用法、対処法を網羅した本
お勧めできる人
- 自分の欠点がうまく説明できない人。
- 相手がなぜ、自分に嫌な行動をするのかわからない人。
- 短所を長所に変える方法を知りたい人。
何故、自分はこんなしたくないことをしてしまうのだろう。
何故あの人はこんな嫌なことをするのだろう。
誰もがたびたび思う悩みである一方で、その理由は様々なものがあります。
俗にいうコンプレックスと呼ばれる悩みに広く網羅して答えてくれるのがこの1冊、
「コンプレックスを武器にする」です。
全体を一通り読みましたが、特にお勧めできるのは5章と7章で、冒頭のお勧めできる人にもその部分は特にじっくり読んでほしいと思いました。
各章に書いてあることを簡単に説明していきます。
1章 コンプレックスの誕生
コンプレックスがどういうものか、どこから発生するのかなどを具体例をある程度交えつつおおまかに説明している章です。
この章で大切なことは、自覚しているコンプレックスは他のコンプレックスを隠すための別の何かであるということです。
コンプレックスは純粋な和訳で「複雑」の意味を持ちます。つまり、自分の中の本当に治したいけど、治せない部分はあなたが思っているより複雑で、難しいものである可能性がある、と言えます。
2章 自分のコンプレックスを探す
ここからがこの本の本当の入り口と言えるでしょう。
この本では自分のコンプレックスの源である深層心理を理解するための、自問自答や連想ゲームなどを奨めています。
二人でやった方が望ましいものもありますが、一人でできるものもあるので、気になる人はやってみると意外な発見があるかもしれません。
もちろん、すでに自分の欠点が完全にわかり切っているという方は次の章に進んで大丈夫です。
3章 コンプレックスの病を知る
コンプレックスの発生した原因の中で、過去、特に家族関係について説明しているのがこの章になります。
親、兄弟など、少し難しい専門用語が並ぶ章です。とはいえ、シンデレラ・コンプレックス、マザー・コンプレックス(マザコン)などについての話もあります。
題材が題材だけに過激な話も多いですが、周りの人の不可解な行動の意味もわかるかもしれません。
私も「もしかして○○さんの行動はこれが原因?」と思う部分がありました。
4章 コンプレックスで自分を守る
いよいよ、最初の本題らしいところに入ってきました。とはいえ、この章のタイトルとはイメージが違いますが、前半で説明しているのはコンプレックスが引き起こす弊害といってもよいでしょう。
都合よく物事を解釈する合理化、とりあえず他人のせいにする投射、その行動の裏にどのようなコンプレックスがあるのか、あるいはどのようなコンプレックスが生まれてしまうのかを説明しています。確かに自分を守るための行動ではありますが、あえてそれを自覚することで脱却することをこの本で進めています。
後半は距離感についてのお話になっています。
「距離とコンプレックスがどんな関係があるの?」と思う方もいらっしゃると思いますが、同じことを言って印象が変わる距離、相手を説得しやすい距離、嘘をつきやすい距離などがあり、もし、対人関係にコンプレックスがあるならこの距離を試してみてほしい、とのことです。
コンプレックスから身を守ったり、あるいはコンプレックスを使って無意識に身を守ったり。軽く目を通しておくと、自覚してない自分の防衛機能に気づけるかもしれません。on/offの切り替えができるようになればこっちのものです。
5章 コンプレックスで性格を変える。
さて、この本の最大のテーマの一つと言っても過言ではありません。様々なコンプレックスをとりあげ、それに対する解説や、対処法、アドバイスなどを上げていきます。
あまりに数が多いので全部は説明できませんが、特に面白いと思ったのを1つ紹介します。
ライバル意識の強い人
A、B、Cの3人にテストをしてそのテストを解く様子を見せて、誰が一番頭がいいかという判断をしてもらうという実験です。
全員同じ正解数なのにもかかわらず、前半にすべて解いて、後半少ししか解けなかったAさんが一番賢いという印象を受けた人が多かったというものです。
これは人間が一度張ったレッテル、つまりその人の印象を変えると最初に間違いをおかした自分は他人を評価する能力がないと認めることになるので別の理由を無意識に考えてしまう、ということですね。
ライバル、までいかなくても他人を過大評価してしまう人は
最初の印象で過大評価を持ちすぎて、持つ必要のないコンプレックスを抱えてしまっています
心当たりはないでしょうか?
他にも自分だけでなく、他人を分析するのに役立つコンプレックスの情報を多く載せています。この本の役立つところはどこか、と聞かれたら間違いなくこの5章であると言えるでしょう。
挙げている種類が多いので一つ辺りの情報量は少ないですが、自分のコンプレックスに気づいたり、自分のコンプレックスを修正するきっかけとなる章だと言えます。
6章 パフォーマンスでコンプレックスを砕く
こちらはもっと具体的な手段、例えば衣服や、経験、技術などでコンプレックスに対処する方法、そして、コンプレックスを持つ人が4章にもあるあまりよくない防衛行動をしてしまうということを書かれています。
自分で活用した方がいい技術、他人が使っていて自分がコンプレックスを持たないために理解をしておくべき技術の2種類を紹介しています。
外見を変える、言葉を加えるなど、簡単で実践しやすい技術が多い一方、だからこそ、人がついついやってしまうようなコンプレックスもまとめています。
7章 コンプレックスで積極的に生きる
最後の最後で重要な部分が出ました。この本の題名である、「コンプレックスを武器にする」を一番表しているのがこの章ですね。
自分のコンプレックスがどのように役立つのか、あるいは、人は他人のコンプレックスをどう活用しているのかがわかります。
特に、男女の立場の違いによるコンプレックスの活用法など、今の時代に生きる人たちにとっても十分に参考になりました。
惜しいことはあまり数が多くないことですが、あなたのコンプレックスをどう活用していくかのヒントになる可能性は十分に秘めています。
また、この章でも、コンプレックスを間違った方向で武器にしている人のことも紹介しており、そういう人に対してどう考えればよいか、ということも自分を守る上で大切なことですね。
総評
ややデータが並んだり、少し難しい言葉が出ますが、「自分にも身に覚えがある」という感覚を覚えやすい本ですね。
特に、今、コンプレックスに悩んでいるけど、本を読む時間がないと思った方は5章と7章だけでも読むと、悩み事を解決できるヒントがみつかると思います。
欠点を解消するということ、相手の欠点の源を理解することは、成長を促し、さらに傷つかず生きるために非常に大切なことです。
しかし、この本は確かに情報を多く網羅はしているのですが、その分、一つ一つのコンプレックス事情についてはやや薄めなので、この本をきっかけにしてより他のコンプレックスに集中しているものを探したほうがよいでしょう。
コンプレックスの入門書としては十分な内容で、当サイトの指針である、ネガティブの解消、活用、共に役立つ内容となっているので興味を持った方は是非探してみてください。
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