テーマは「格差」と「???」時は金なりを地で行く映画です!『TIME』監督 アンドリュー・ニコル

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映画 その他
映画『TIME/タイム』予告編

オススメできる人

  • SFが好きな方
  • 通貨の概念を別側面で見たい方
  • お金ではない資本主義が見たい方

「時間」と「お金」

一番欲しいものは?と聞かれたら、多くの人が答えるものでしょう。(愛とか平和?残念ながら欠席です

非情に世知辛い話ですが、お金があったらできることは世界には非常に多く存在します。お金がたくさんあるというだけで、人望も恋愛も友情も得ることができる……かどうかはおいといて、奪い合いに発展するほどの強い力があるのは間違いありません。

同じように時間も貴重なものです。タイトルにもありますが「時は金なり」英語でも「TIME IS MONEY」で通用するほど世界では同じかそれ以上に価値があるものととらえられています。

お金がいくらあったとしても自分に残された時間が極僅かだとしたら使いようがありません。時間はたくさんあったとしてもお金がなければできることは限られます。

庶民の立場で言うならば、お金はあるけど毎日忙しく働く社会人、時間はあるけどお金がなくてできることが限られる学生というのはよく対になりますね。そしてある意味世の中に公平感をもたらしています(本当にある程度ですけど)

では、この2つが同じ意味を持つようになったらどうなるでしょう?

お金持ちはより長生きし、貧乏人はより早死する……

時間と通貨が重なる物語、始まります。

あらすじ

ちょっとした近未来のお話です。

技術の進歩により、人々は25歳から年を取らなくなりました。代わりに自分に残された時間が「通貨」として決められました。自分に残された時間を稼ぐために働き、同じように生活必需品から贅沢品まで時間を消費して払います。右腕に表示された緑色のタイマーがその人に残された時間であり、0になった瞬間、息絶えます。時間は他の人の腕を腕をつなげることで与えたり、もらったり、あるいは奪ったりすることはできますが、死んでしまったらいくら時間があっても戻ることはありません。

お金と命と時間が一つの貨幣になり、より大きく強いものとと弱いものの間で格差が生まれ、世界はすぐに息絶える人が多く暮らすスラム街と永遠に近い時間を生きる富裕層が暮らす楽園へと別れていきました。

スラムで生きる青年、ウィルは母親と二人で暮らしていました。年々上がっていく様々な物価、一方でどんどん下がっていく給料でギリギリの生活を送っています。「明日死んでしまうかも知れない」と腕にあるタイマーを見つめる日々でした。

ある日、何の気まぐれか、時間、つまり資産を大量に持つ男がスラムの酒場に訪れました。100年は生きられ、何でも買える彼は、当然のように時間を奪おうとする犯罪者たちに狙われますが、同じく酒場にいたウィルによって救われます。

「自分なら1日だって時間を無駄にしない」

ウィルの言葉を聞いた男は……。

形を変えた露骨な資本主義

「お金さえなくなれば、資本主義は崩壊し、新たな道が見えてくる」

昔、私が言われて、少しの間信じていた言葉です。(誰が言ったかの引用を検索しましたが出てきませんでした)ただ、生きていく内にわかってしまったことがあります。

たとえ、お金が消えたとしても、資本主義が消えるとは限らない。何らかの別の形で蘇り、また格差を作っていくと。

それは、知識かもしれませんし、権威かもしれません。もしかしたら、もっと簡単なものが成り代わるかもしれません。

TIMEでは技術の発展により「時間」というお金と同じぐらい必要なものに成り代わりました。

時間=金で考えるとあらすじのお話は割と子供の童話で出てくるようなありきたりなものになってしまうかもしれません。しかし、お金に置き換えれば様々なことがありきたりなものに置き換えられるということが、形を変える資本主義の強さを表しているとも言えるのです。

今の世の中で言えば、SDGs問題などがあります。資本主義の問題点を解消することも目的の一つですが、「環境を守る」「多様性をより活用する」といった指標が何らかの形で強く出てしまった場合、この映画の腕に刻まれた時間のように、個人の何かを逆に支配されるものとなる可能性はあります。

※SDGsを否定したいわけではないのでご注意を

経済支配とは?

便利さ、及び技術の進化に対するネガティブな印象もありました。技術は複雑になり、価値を増せば増すほど、理解する人間が強くなり、知ることの出来ない人間は置き去りにされます。

本人の努力不足とは単純には言い切れません。努力しようにも手元に学ぶための媒体が何もなければ、手も足も出ないのです。そして抵抗できない弱者を支配する強者の仕組みができあがっていく……というのもまた歴史の話でも今の話でもあります。

抵抗できないというのは物理的な話もありますが、精神的な話でもあります。努力のやり方が出来ない、あるいは努力してもどうにもならない、それを努力不足と称することで罪悪心をうえつけ、支配させるというのは意外と知られていないですが、効果的なやり方と言えるでしょう。

映画では、アクション性の強い戦いが多くありますが、一方で金持ちや権力者特有の小狡い方法も出てきます。やはり対抗するにはより大きな力、より奇抜な考えが必要されていきます。

しかし、こんな世界になることに反論はなかったのでしょうか?あったとしても、富裕層に騙されたか、あるいは強硬に突破されたか、はたまた老化したくない、という願望に踊らされたか……わかりませんが、恐ろしき支配は、相手に抵抗を与えないことであり、命を盾にされてしまえばどうにもなくなります。

現代にも通じ、よくある教訓となってしまいますが、「自分なら大丈夫」とは思わないほうが良さそうです。

総評

どちらかといえば、アクション性の強い映画であり、後半になっていくにつれて派手な戦闘シーンや逃亡シーンなどが目立ち、定められた運命に戦っていく姿が中心となっていきます。

しかし、やはり時間、お金、命が総合され、より差別が強調された世界というのはそれだけでも裏にあるネガティブを感じ取れます。

「少ないからこそ大切なものとわかる、多すぎるほど、一つ一つの価値が少なくなる」

もし、人々が求めるものをすべて総合された資産を多く持ってしまえば、もはや何が大切なのかすらわからなくなってしまいそうです。わからなくなってしまうから、より求めてしまうようになると、色々な形で別のものを求めるようになります。

それは、最初にウィルにあった富豪だったり、あるいはもっと別の誰かだったりします。

大きく変わった世界で、今の世界でも通じるものを感じ、ネガティブさから学んでほしいと思います。

人が本当に求めるべきものを。

もう一つのテーマ

「夢」ですね。

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